ずいぶん長いこと引き摺ってしまった伊勢志摩ツアーのレポートもこれで最終回。
季節はこの頃よりもどんどん春に近づいて、そろそろ次の計画を立て始めようかな、といったところです。
やっぱり暖かな時期ってのは良いものですねぇ・・・。どこへでも行けそうな気になっちゃいますね。

それでは本編。念願叶って温泉に入り、ゆっくり身体を温め直したところからスタートです。

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「阿曽温泉」とてもいいお湯でした。
体の芯までじんわりと暖まり、これからの旅へのやる気も充電!再び愛車に跨って北へと向かいます。
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温泉から少し走った「道の駅 奥伊勢木つつ木館」で作戦会議を兼ねた水分補給と地酒の調査をば(笑)
ここの物産館には木材加工品がたくさんありました。奥伊勢エリアはこういうのが盛んなんでしょうかね?
ここで地酒ワンカップを購入。家に着いてすぐグイっといっちゃったので銘柄は覚えていませんが、美味しかったです。

道の駅から先は紀勢自動車道~伊勢自動車道を使って一気に伊勢までワープ。
紀勢道は対向1車線の、いわゆるローカル高速のテンプレートに沿ったような高速道路でした。
高架によってかなり高いところを走っているので、景色もそれなりに良く、気持ちよく走れたのを覚えています。

伊勢西ICで降りて、伊勢神宮へと向かいますよ。
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この日(2月2日)は年末年始の混雑緩和規制のため、伊勢西ICは一般車通行止めだったのですが、二輪はOKでした。
さすがに2月ともなるとそれほど混雑しているようには見えませんでしたが、年始とかは凄いんだろうなぁ・・・。

まずは左へと曲がって、伊勢神宮「外宮」を目指します。
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ちゃんと二輪車を停めるところもあってひと安心。神社は基本的に駐車料金が掛からないのも良いですね。
自分の他にもオートバイでお参りに来ている人は沢山いて、さすが国内屈指の社と思わされます。

外宮は衣食住、そして産業の守り神である「豊受大御神」祀る社。
内宮の天照大御神の食事を司る神様として、約1500年前に丹波国(今の京都・兵庫北部)より迎え入れられました。
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境内は緑に溢れており、心地の良い風が流れていました。砂利を踏みしめ、先へと進むたび身も心も洗われる思い。
降り注ぐ木漏れ日は今が真冬であることを忘れさせてくれそうです。(実際は結構寒い)

そして歩くこと10分ほど、正宮「豊受大神宮」へと到着。
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一般的な神社とは一線を画す造り。本殿の回りには板垣が立て掛けられています。
なお、この板垣から先は一切の撮影は禁止。荘厳な雰囲気の中、今年一年の平穏無事を願いお参りをば・・・。
(中にも警備の方が何人か立っていて、多分今までで一番緊迫感のあったお参りだったのではなかろうか)

そして正宮の隣には広大な土地。ここにいわゆる「式年遷宮」の時に移されるわけか・・・!
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前回の遷宮は2013年・・・当時色々なニュースで目の当たりにしましたが、実際来てみて初めて実感が湧きました。
もうあれから7年。ピカピカだった正宮も今や歴史を重ねて味わい深い姿になりましたね。

ちなみに今までよく知らなかったのですが、そもそも遷宮をする理由はお宮の造りの耐用年数が短いから。
基礎を造らずそのまま柱を地面に埋める「掘立柱」であったり、茅葺の屋根は老朽化がとても早いそうです。
次回の遷宮は2033年・・・。管理人40歳。想像がつかんな。(多分やってることは変わらないと思うけど。)
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鳥居は神域と俗界を仕切る結界と言われますが、確かにこの場の厳かな雰囲気はそれを強く思わせます。
思わず背筋がピンとなりますね。日頃の自堕落な行いを改めなければなぁ・・・。

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で、帰ってきました。
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お次は南にある内宮を目指します。

本来のお参りの仕方としても、「外宮先祭」に倣って外宮から行うのが由緒正しいやり方らしいですね。
豊受大御神は天照大御神の御饌都神であるため、内宮に先立って外宮から奉納を行う・・・とかなんとか。
エンジンに火を入れる前に、キャブレターのチョークを引いて燃料を送っておく・・・みたいな感じです、多分。

伊勢神宮「内宮」は外宮より南に15分ほど走ったところにあります。
こちらに祀られているのは「天照大御神」。日本神話における主神であり、恐らくもっとも有名な神様です。
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駐車場の都合でずいぶんと遠いところに案内されてしまいましたが、まぁ時には歩くのも悪くないでしょう。
外宮はわりとすんなり駐車できたんですが、こちらは結構な混雑具合。さすが主神様。

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テクテクと歩きます。神社までの参道には幾多のお店が立ち並んでおり、人でごった返す大盛況!
時代は変われど昔からお伊勢参りってこんな感じの雰囲気だったのかなぁ、とちょっと思いに耽っちゃいました。
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正直、ここまで多くの人で賑わってるとは思っていなかったので、驚きです。
まさに観光地って感じ。楽しげではあるんですが、自分は外宮の落ち着いた雰囲気の方が好きかな・・・。
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まぁ考えてもみれば、昔はお伊勢参りといったら一生に一度行けるか行けないかって程の大イベントでしたからね。
ここはこんな風に騒がしくて、お祭り騒ぎなのが正しいのでしょう・・・(笑)

境界をくぐり、五十鈴川に掛かる宇治橋を渡り境内へ。
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整然と敷かれた白い玉砂利を踏みしめて正宮へと向かいます。
外宮と比べて内宮はかなり広い!歩いても歩いても正宮へ辿り着かない・・・。ぶっちゃけそろそろ足が痛いです。
「ようやくお宮か・・・」と思ったら、神楽殿だったりして。(神楽殿が普通の神社の正殿くらいにデカかったです)

そんなこんなで正宮「皇大神宮」です。
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荘厳な雰囲気な石の階段を上った先にあるのは、先ほどと同じく板垣で守られた本殿。
社殿の回りは巨木に囲まれており、周囲がスカッと抜けていた外宮とはまた違った印象を受けます。

あっ・・・例の如くこちらもこの先は撮影厳禁でございます(汗)

日ごろの感謝とこれからも健康にオートバイに乗れますように!あと良縁が来ますように・・・笑
良縁ったって、タダ同然の原チャリだったり10万以下の変なクルマだったりそんなのばっかなんだよなぁ・・・。

しかし残念なことに、こう人が多いとマナーの良くない輩もチラホラと見受けられました・・・。
昔は外国人観光客が~ってよく話題になってましたが、今はよっぽど日本人観光客の方がマナー良くない気がします。
安直なパワースポットブームも考え物ですね。ここはテーマパークではありません。

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念願の伊勢参りが終わり、愛車の元へと帰ってきました。
これよりこの旅のハイライトである「伊勢志摩スカイライン」を通り、鳥羽のフェリーターミナルへと向かいます。
時間は13時過ぎ。15時のフェリーに乗りたいので、フェリーターミナルには14時半には着きたいところです・・・!

「伊勢志摩スカイライン」は伊勢市と鳥羽市を繋ぐ有料道路。
全国的にも名高い「絶景道」としても有名で、幾多のメディアや雑誌にも掲載される定番ワインディングです。
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通行料は二輪車900円。ちょっとお高いですが、抜群の景観とショートカットできる距離を考えると妥当かな?
天気も変わらずに抜群の晴れ模様なので、今日はいい眺めが期待できそうです。

料金を払って、峠道をグイグイ登っていきます。さすが私道、勾配がきつく標高はどんどん上がります。
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最初の展望駐車場、向こうに見えるは伊勢の街並みと雄大なる伊勢湾!うおー、結構いい感じじゃないの!
周囲に高い山が無いので、それこそ抜けるような展望ですね。日が暮れると沿岸の夜景がキレイそうです。

ずーっと奥側にあるのが鈴鹿とかその辺のエリアなんだろうなぁ。
今回はフェリーで大幅に道のりをパスしてしまいましたが、近い将来、向こうも走ってみたいところですね。

そのまま更に高度を上げて・・・。辿り着いたのは「朝熊山頂展望台」
有料道路に必ず一つある「売り」の展望台です。さーて、伊勢志摩スカイラインのハイライト、見せてもらおうか!
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おお・・・素晴らしい・・・。 青い空、蒼い海。そして島々が集まった、この土地ならではの風景・・・。
まさに「伊勢志摩ツーリング」の最後を飾るにふさわしい大絶景です。数年越しに思い描いた光景が、目の前に。
長年、多くのライダーたちに愛されている理由が分かります。ああ、ここまで来て、よかったなぁ・・・。

☆★☆

素晴らしい地元の景色を眺めた後は、地元の食べ物を味わいたいところ。
内宮の「おかげ横丁」では、人が多すぎて食べる気分にならなかったのですが、ここいらでお腹が空いてきました。
今回、何かと地物を食べる機会がなかったので、ここはバリバリの名物料理を注文すべきでしょう!
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というわけで、ドライブインで念願の「伊勢うどん」を注文!(頼んだらすぐ出てきました!さすが!)
見た目はかなりぐでっとしたうどんで、パッと見モチのようです。下に溜まっているのは濃い口の醤油。
具材はネギだけというとてもシンプルな一品ですが・・・う~ん、醤油の香りが食欲をそそります!

ズズズ・・・

・・・うまいです。いや、これ久しぶりにヒットな味ですよ。
いかにも緩く茹でられたうどんですが、決して「伸びてる」わけじゃなく、程よいコシが残ってる。
「うどん=コシが強いほど良い」という風潮に疑問を持つ管理人としては、探してた一杯がここにあった感じ。

味付けも醤油ダレという本当にシンプルなものなんですが、シンプルだからこそ全体のバランスの良さが際立ちます。
何よりもこの、醤油が・・・。地物の醤油なのでしょうか?大豆の存在をしっかりと感じる、いい香りなんですよ・・・。
このタレが、ちょっとふやけた麺と絡み合って・・・、ああ、こんなこと書いてたらまた食べたくなってきました。

「名物に旨い物なし」とはよく言いますが、そんなことはない。伊勢うどん、個人的には大正解です!
(どのくらい美味かったかって、展望台からの絶景よりもこちらの印象の方が強く残るくらい美味かった・・・)

はー・・・ごちそうさまでした。
伊勢うどんの為だけに、またこっち来てもいいな・・・と思うくらいに、ド・ストライクな味でした。
今回、地元の名物みたいなものはこれだけしか食べられなかったのですが、それでも大きすぎる収穫でしたね。

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伊勢志摩スカイラインの印象が、既に伊勢うどんスカイラインになりつつある中(笑)
「さて行くべ」と愛車に跨り峠を降り始めた瞬間、圧倒的な絶景によりまたもその衝撃を塗り替えてしまうのでした。

「ああ・・・そうか、この景色が見たくてここに来たんだっけ」
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これだ。これこそ、昔より追い求めてきた光景。佇む愛車と、伊勢湾の美しい紺碧のショット。
どんなに美しい景色も、やはりライダーの性。愛馬がそこに居ないとどこか物寂しくなってしまうものです。

ライダーは決して一人で旅をしているわけではない。常に己と自らの愛車の二人三脚なのだ!
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自分の一番愛する乗り物でここまで来られたことに感謝しなければなりません。
苦しみも喜びも絶景も分かち合って、オートバイは道具以上の何かにきっと変わっていくと思うのです。

旅も終盤ですが、最後に一番見たかった景色を捉えることが出来ました。伊勢に来て、よかったー!

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さて、そろそろ時間も惜しいので鳥羽のターミナルへと向かいます。
伊勢湾の眺望に後ろ髪を引かれつつも、つづら折りのワインディングを30分ほど下りR167へ・・・。
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初日、最初に踏んだR167に再び戻り、これでぐるっと一周したことになりますね。
伊勢志摩スカイライン降り口から鳥羽のフェリーターミナルまではとても近く、そんなに急ぐことはなかったかな?

ともあれ。14時過ぎに到着。
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少し早すぎる感はありますが、無事に15時のフェリーに間に合うタイミングでターミナルに着くことが出来ました。
係員さんにベテランよろしく「どうです?今日の波は・・・?」と聞くと、今日は至って平和との答え。
聞くところによると、やはり昨日は例外レベルの爆風だったみたいです。いや、そうだと思ったんだよ・・・(笑)

チケットは買ってあるのでターミナルでゆっくり休憩。
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あっ、やっぱりここでもごはん食べられたんだな。
名物である「手こね寿司」は行く前から色んな人に勧められてたんですけど、今回は食べられなかったので・・・。
次回はフェリーで着いたら、ここで腹ごしらえしてスタートするってもんかな。鯛手こねとか美味しそうです。

松阪牛タオル・・・すごく惹かれたけどネタで買うにはちょっと勇気のいるお値段。
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流石ターミナルというべきか、お土産はかなり充実してました。
管理人は先ほどの伊勢うどんショックが忘れられず、伊勢醤油を自宅用に購入。(→刺身に使うとサイコーです!)

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そして、船はやってくる。
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伊良湖からきたフェリーですが、小型のバスが2台も入っていてびっくりしました。
あんまり船体が(フェリーとしては)大きいようには思えなかったのですが、しっかり詰めるとかなり載るんですね。

もう2回目となれば余裕しゃくしゃく。
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ベテランのような顔ぶりで指定位置に愛車を寄せ、ハンドルを左に切って颯爽と立ち去ります(笑)
これでもうフェリーの乗り方は完璧です、これからどんどん使っていくぞ。

帰りのフェリーは揺れ一つなく快適そのもの。
昨日の「兄弟船」はいったい何だったんだと言わんばかりの、素晴らしくシルキーな乗り心地でした。
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さらば三重県、また来るよ。

しかし、揺れのない船って、本当に水面を水平に滑走するように進むのですね。
速度感を全く感じないので、目を閉じてボーっとしていたらいつの間にか港からかなり離れていました。
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遥かにつづく水平線。旅の終わりに思いを馳せて、なんだかちょっぴりセンチメンタルな気持ちにさせます。
船旅、いいです。このままずっと船に揺られていたい。このまま、あまりもの旅情に飲み込まれてしまいそう。

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伊良湖の岬が見えてきたら、そろそろ現実世界へと戻らなければなりません。
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っていうか、何がイヤってここから自宅まで100km近くまだ走らないといけないことなんだよな・・・。
一本真っ直ぐ自動車道でも作ってくれないものか・・・。R42は遅い車に掛かると無限に時間が掛かるんだよ・・・。

しばらくすると下船の合図が出て、この楽しい週末にもサヨナラです。
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あとは見知った道をひたすら戻り、浜松の自宅へと帰るだけ。
日が暮れると共に寂しさも募りますが、それはそれだけこの旅行が楽しかったという事だ。と自分を奮起させます。
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振り返って最後の一枚。(よく見ると後ろの方にメガーヌRSが居るネ)
また遊びに行くからなっ!伊勢志摩!その時まで無くなるなよ!伊勢湾フェリー!

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ここからはひたすら作業の帰路でありました。
フェリーのおかげで疲労感は少ないですが、それでも暗い道を走るのは嫌なものです。やっぱ伊良湖は寒いし。
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いつもの山岡家(濃いめ)で夕飯にして、自宅に辿り着いたのは19時頃。お疲れさまでした。
今回の総走行距離は434km!フェリーでの移動が多かったので実走距離はそんなに伸びませんでしたね。

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と、いう訳で4回にわたってお送りしてきました伊勢志摩ツアーのレポートはここまで!
初めてづくしなツーリングだったので、うまく纏まらずにやたら長ったらしくなってしまいましたが・・・(汗)

ともあれ、この経験で近畿地方への足掛かりは出来たのでは?と思います。
今回は紀伊半島の入り口とも言える伊勢志摩エリアを重点的に回りましたが、次回はもっと深みに迫りたいところ。
近畿にはまだまだ自分の知らないもの・ことがきっと沢山眠っている筈です。
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人ヨシ、景色ヨシ、食事ヨシ。三方ヨシの近畿地方。今度は紀伊半島をぐるっと回ってみたいものです。

~おわり~